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柴本 泰照; 与能本 泰介; 安濃田 良成; 久木田 豊*
Nuclear Engineering and Design, 201(1), p.83 - 98, 2000/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)ROSA/AP600実験では、コールドレグにおいて、PRHRによる冷水とダウンカマ側からの熱水により最大温度差150Kという高密度比の対向成層流が観察された。このような多次元現象は従来の1次元安全解析コードでの予測は難しく、また、CFDコードによる微視的モデルも開発途上の段階である。これら計算コードの性能評価に用いるデータ取得のため、大気圧力下ての実験を行った。実験では、実機相当の密度差を模擬するために、作動流体に飽和塩水と淡水を使用した。両作動流体は水平試験部内で対向流を形成し、上層はほぼ静止状態の淡水層、下層は塩水層となる。乱流状態になる下層塩水層について、その速度及び塩の濃度分布は、密度成層せん断流に関するモーニン=オブコフ相対理論によって説明することができ、実験値は理論値と良く一致した。さらに、上下層の界面における抵抗係数・エントレインメント係数について、これらのfitting結果から評価し、既存の文献値との比較を行った。また、混合層厚さについて実験相関式を提案した。
高瀬 和之; 功刀 資彰; 小川 益郎; 関 泰
Nuclear Science and Engineering, 125(2), p.223 - 231, 1997/00
被引用回数:11 パーセンタイル:65.44(Nuclear Science & Technology)核融合炉の真空容器が破断した場合、圧力差による空気置換が行われた後、破断口部には真空容器内外の温度差に起因する浮力駆動型置換流が形成される。この置換流によって、真空容器内に存在する放射化ダストの微粒子やトリチウムは炉外に同伴されることが考えられ、核融合炉安全性の観点から真空破断時の置換流挙動を把握することは大変重要である。そこで、核融合炉のトカマク型真空容器を縮小簡略モデルで模擬した実験装置を使って、作動流体にヘリウムガス(容器内部)、空気(容器外部)を用い、真空破断予備実験を行った。その結果、置換量は破断口の数や真空容器設置面から破断口までの鉛直方向距離に大きく依存することがわかった。また、真空容器上部が破断した場合には破断口を通る置換流は対向流となるため置換流挙動は抑制されること、並びに、容器側部が破断した場合には置換流は成層流となるため置換流挙動は比較的スムースに進行することが判明した。さらに、真空容器内の置換量は、破断口径の増加とともに増大し、破断口長さの増加とともに減少することを実験的に明らかにした。
高瀬 和之; 功刀 資彰; 関 泰
Fusion Technology, 30(3(PT.2B)), p.1459 - 1464, 1996/12
核融合炉の真空容器が破断すると、破断口部に密度差駆動による置換流が形成される。この置換流は放射化したダストを同伴して容器内部から外部へと流れるため、汚染領域の拡大に繋がり、この置換流挙動を把握することは核融合炉の安全上大変重要である。著者らはすでに、核融合炉の真空容器をスケールモデルで模擬した実験装置を使って真空容器破断事象(LOVA)予備実験を行い、破断口位置と置換量との関係を明らかにした。今回は、破断口に直径及び長さの異なる数種類のダクトを取り付けて、破断面積と破断長さが置換流量に及ぼす影響を調べた。その結果、ダクト長さに比例してダクトの摩擦損失が増加するために、置換量は減少することが分かった。また、大口径破断の場合には破断口位置には無関係に置換量は破断面積に比例して増大した。一方、小口径破断の場合には、置換量は破断口位置に依存する傾向を示した。すなわち、真空容器の上部に破断口がある場合には対向流の影響を受けて破断面積の縮小とともに置換量は大きく減少したが、破断口が真空容器側部にある場合には成層流の影響が支配的になり破断面積によらず置換量はほぼ一定値を示した。
藤村 薫
原子力工業, 41(3), p.49 - 51, 1995/00
流体系における層流から乱流への遷移の素過程としての、流体運動の安定性と分岐について述べ、代表的な例として、現在行っている縦横モード相互作用に関する研究の解説を行った。不安定成層をしたせん断流においては、ベナール対流に対応するロールが流れ方向に軸をもって現われる。しかし、せん断流を強くしてゆくと、流体力学的不安定モードである流れ方向に周期性をもつ伝播波が現われる。縦ロールと横伝播波が同時に出現するパラメータ領域ではどのような空間パターンが形成されうるかについて、弱非線形理論に基づく結果を紹介し、展望について述べた。
村松 壽晴; 二ノ方 寿
PNC TN9410 89-132, 59 Pages, 1989/09
原子炉容器内の冷却材温度成層化現象を精度良く評価できる様にするため、AQUAコード内で使用しているk-方程式乱流モデルの替えて、応力代数式乱流モデルを組込んだ。この新乱流モデルでは、乱流プラントル数等の経験定数を用いないことから、作動流体によらない高精度な解析が実現される。この乱流モデルを用いて水及びナトリウムを作動流体とした温度成層化実験の解析を行い、以下の結果を得た。[水実験解析](1)温度成層界面に揺動が発生しないリチャードソン数領域の解析では、従来界面の上昇速度を過少評価していた。今回の応力代数式モデルを使用することで、実験結果を良好に再現できる。(2)温度成層界面に揺動が発生するリチャードソン数領域の解析においては、k-モデルで揺動振幅の過大評価、応力代数式モデルで若干の過少評価径行を示す。[ナトリウム実験解析]従来温度成層界面の上昇速度を1/3程度に過少評価していたが、今回の応力代数式モデルの適用により実験結果を良好に再現できる。以上より、温度成層化現象の様な非等方性挙動が卓越する現象の解析には、従来のk-乱流モデルに替えて応力代数モデルの使用が模擬精度の観点から推奨される。